こんにちは
今回は胎児呼吸様運動についてお話しますね。
胎児ちゃんはお腹の中で呼吸の練習をして産まれてきます。
胎児呼吸様運動は在胎10週頃から始まり、在胎週数にともなって活発になっていきます。
横隔膜によって行われていて、肺の拡張・収縮運動をしています。
在胎22週頃になるとガス交換が可能になってきます。
早産でこの頃に出生すると人工呼吸器の力を借りれば呼吸は可能な段階です。
胎児ちゃんの肺胞の中を見てみましょう。
肺胞の中は“肺胞液”という肺胞Ⅱ型細胞という細胞から分必された液体で満たされています。
この肺胞液は胎児呼吸様運動にともなって羊水中に排出されます。
羊水は肺胞内には入ってきません。
在胎34週頃になると肺サーファクタントが分泌されて肺胞が潰れにくくなります。
では、この肺胞液は出生時にどこへ行くのでしょうか??
肺胞液は第一呼吸によって入ってきた空気に押し出されて吸収されていきます。
数呼吸後には肺胞液で満たされていた肺胞は空気で満たされ、呼吸が可能になります。
出生時に「オギャーーー」と言っている間に、肺にとっては劇的な変化起きているんです。
胎児ちゃんは羊水の中にプカプカ浮かんで過ごしているわけですが、
羊水過少になった場合、胎児呼吸様運動にも影響が出てきます。
羊水の量は胎児ちゃんの排出する尿と肺胞液で保たれています。
羊水過少になると、肺胞液の流出が促進され、肺胞腔が縮小します。
さらに、羊水内で胎児ちゃんの運動が促されますが、羊水過少状態では運動が抑制されます。胎児呼吸様運動も抑制されてしまいます。
これらが原因となって、肺の低形成が生じると考えられています。
また、胎児呼吸様運動は低酸素状態でも抑制されます。
このように、胎児ちゃんは出生後に1番大切となる“呼吸”に備えてお腹の中で呼吸の練習をして産まれてくるんですね。
ではでは、今回はこの辺で~
参考文献
・堺 武男.イラストで学ぶ新生児の生理と代表的疾患.メディカ出版
・池ノ上 克.前原 澄子.みえる生命誕生 受胎・妊娠・出産.南江堂
・上妻 志郎.胎児の生理.日産婦誌59巻10号
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